現代医学は、我々が健康維持に必要なことを、どの程度カバーしてくれているのでしょうか?
最近のテレビの報道を見ていると事故などのニュースで
《 心肺停止状態で発見されました 》などと云う表現が使われています。
決して《 死亡している状態で発見されました 》とは言わなくなりました。
死亡しているか否かは医者のみが判定すると云った社会的なコンセンサスができてきたようです。
《 病気やけがに際しても、どこがどのように悪いのか 》と云ったことは医者に診てもらうしかありません。
つまり診断するのは医者であり、その診断に責任を負うのは医者であることを誰もが認めるようになってきました。
日本では保険制度が発達していて、誰もが、お金がないからという理由で医療を受けられないと云うことはありません。
また、急に具合が悪くなった時に救急車を呼べば、素晴らしく早く駆けつけてくれます。
疫病が発生しないように下水道が完備され制御されていますし、検疫体制もしっかりと機能しています。
こうした制度の完成度はかなり高いと思います。
けれども、以上のようなことと比較すると慢性病に対しての医療の在り方はものすごく当てにならないようです。
慢性病とは癌・心筋梗塞・脳梗塞・認知症・糖尿病・痛風などを云っています。
これらの慢性病は激増しています。
大部分の人がこれらの慢性病のどれかを患い、直接・間接それらのために亡くなっていくとも言われています。
これらの病気の多くは一度、発症してしまうと元には戻らないものですが、医者は真剣に対応してくれます。延命させるために治療してくれます。
行政も、介護が必要になれば、できるだけのことはやってくれます。
けれども、これらの発症に責任を感じているようには見えません。
慢性病を引き起こす食材に関しては、個別にはかなりの情報はあるようです。
けれども、全体性が欠落しています。
例えば、糖分の過剰で全身のたんぱく質が糖化されてこれが老化の原因になってしまうことが明らかにされてきています。
それで、糖質をゼロにすればよいと思うかもしれませんが、人体はそれほど単純ではないようです。
糖質を制限すれば、活力を失い、風邪をひき易くなり、精神障害を引き起こしたりします。
そうしたことがコントロールできるほど医学は情報を提供してくれません。個別のことは分かっても
人ひとりの全体性が見通せないのです。そのために、糖質制限食なるものにトライしても失敗する人が多いようです。
失敗するとは、トライすることで、逆に体がダメージを負ったり、生活の質を下げたりしてしまうことを云います。
そうしたことは山のようにあります。
《全体性が欠如しているのです》
医療は個別の疾病に緊急的に対処することを主眼に発達してきたために
長期的・全体的に見ることは苦手なようです。
現実に生存している我々は全体性の上に生きているのです。
同じく砂糖や小麦などが健康に悪い食材で様々な疾病を引き起こすことが知られていますが、
その程度が不明です。砂糖をどの程度摂取すれば虫歯になるのかと云ったことが簡単なことではありません。
最後に最も重要なことは、飲食に関しては個人の嗜好の問題が絡みます。
美味しいものを食べたいと誰しも願いますし、誰も、そのことを否定できません。
健康だけのために飲食するわけではありません。
ある人は「医者に酒を飲むな!」と言われたことを嘆き
「酒を断つくらいなら、もう仕事もやめる!」などと言い出したり、
「酒を止めるぐらいなら、死んだ方がましだ!」などと言います。
また、経済的なことや生活環境なども複雑に絡みます。
ようするに健康だけの観点で飲食を決めることができないのです。
こうした健康だけでは判断できない飲食を《定量化できないし、全体性もない医療知識だけで社会を主導していくことが出来ない》
のです。
これが慢性病が激増している背景だと思います。
2019年11月25日月曜日
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